会長挨拶

テーマ「インパクト」 “Have a good impact on society.”

■40周年記念事業を振り返って

博多21の会は昨年、創立40周年を迎えました。式典では40年の歩みを振り返り、発会の理念や、憲章に込められた思い、歴代会長がその時々で何を考えいかに行動してきたか、改めて知ることができました。また記念事業では、博多21の会の役割・使命は何か、いま何を発信していくべきか、難しい議論を重ねました。長谷川初代会長は発会当時の思いを、「文化力・人間力をもって東京と対等となる。その結果、地域の経済力も上がり、九州・福岡から日本が発展する原動力になる。」と表現されました。私はこの考え方が博多21の会の原点にあり、他団体にはない大きな特徴となっていると感じます。会員に文化人が多いのも博多21の会の特徴です。

結果、記念事業は日本文化を核に据えた新しいまちづくり・ひとづくりをテーマとし、未来を担う若者を多数招いて、能・狂言・茶道という日本文化の頂点を直接体感する事で、その美しさ・素晴らしさに触れ、感動し、興味を持つことで、将来的に福岡の文化度の向上に貢献することを目的とした事業を実施することになり、大盛会となりました。

また寺島実郎先生による基調講演では、世界の中で埋没する日本の現状と、これからアジアのダイナミズムに向き合う中で、異次元の高齢化を迎える日本はどうするのか、強い危機感と示唆に富んだ講演をいただきました。

日本は世界の中でどんどん埋没しています。これからアジアの時代、戦後パラダイムの大きな転換点を迎えるなかで、わが国は世界一急速に高齢化と人口減少が進みます。地政学的なリスクも高まる一方です。いま、私たちが高い志を持ち、次の世代が誇れる街づくり・人づくりを真剣に考えて行動しなければ、手遅れになるのではないかという強い危機感を覚えました。


■「再起動」した41年目の博多21の会

博多21の会の魅力は、超一流の価値創造を目指す志のある経営者・文化人が集まり、会の雰囲気は自由闊達。会の運営も決してトップダウンではなく、委員会がベースとなるボトムアップの運営になっています。だから参加すればするほど博多21の会を好きになり、楽しくなる。また有意義な人間関係が構築できるので、会員数も年々増加しています。

ただ、コロナ禍の影響もあり、最近は例会や事業が内向きになっているように感じます。自分たちが学ぶ、知る、楽しむ。もちろんそれは大切なことです。しかし、我々が憲章に掲げるような、郷土の活性化に向けたインパクトある提言や事業を産みだせていないのも事実ではないでしょうか。

 博多21の会は、上部組織がない自主独立の唯一無二の団体。何の縛りもありません。短期的な結果を求められない。故に長いスパンで提言し、活動していくことができます。行政にも民間企業にもできないことができる。高い視座で、この街の将来のためにインパクトのある提言や大きなムーブメントを起こす事業も実践できるはずです。

私からは次の4項目の会務方針を提起いたします。

■会務方針

(1)まちづくり

九州の中での福岡の特性や役割を踏まえ、行政や市民を巻き込んで将来に向けた地域活性化を考え行動するために「まちづくり地域戦略委員会」を設置します。福岡空港もPIステップ4の完了から15年が経過し、2500mの滑走路を増設中ですが、まだ何も変わっていません。これまで会から提言してきた危険性等は何も解消されず、混雑のため門限に着陸できず引き返す航空機が頻発する状況です。少なくとも議論の火種は絶やしてはいけないと考えています。

もう一つ、「まちづくり」では、従来のハードのまちづくりだけでなく、今回40周年の文化事業において私たちが新たに提起した、「文化」を核としたソフトのまちづくりは、博多21の会が新たに取り組むべき、これから更に重要になるテーマだと考えています。九州の中で最高レベルの文化体験ができる街、文化レベルの高い国際都市FUKUOKAのあり方を考える「まちづくり文化委員会」を新たに設置します。

(2)ひとづくり

「ひとづくり」分野では、地域の発展を担う、志の高いたくましい人材づくりを考え行動する「ひとづくり教育委員会」と、経済発展に欠かせない経営・ビジネスに関する人材育成や学びの機会をつくり、会員の資質向上にも繋げていただくことを目的に「経営委員会」を設置します。

(3)親睦・交流・メンバーシップ

メンバー間の親睦をさらに強化し、全世代が楽しめる会にしたい。趣味の会や業種別の会など新たな親睦活動も視野に入れて「親睦交流委員会」を設置します。この委員会には、会内だけでなく、他団体との交流や、九州内に新しい21の会を立ち上げる構想など、対外的な活動も担っていただきます。

メンバーシップの強化に関しては、新会員の受け入れ窓口である「アカデミー委員会」において、ベテラン会員と入会したての若い会員との交流やフォローアップ、さらには将来を担う次世代会員の拡大も考えていきます。

(4)会の未来に向けた制度改革・次世代継承

発会から40年が経過、当会のメンバーは20代から80代まで幅広く所属し、3世代同居のようになっています。年齢も会歴も様々で、それが会の強みにもなっています。ただ、永年所属されているベテラン会員の中には、様々な理由であまり会の活動に参加されない方が増えているのも実情です。この会が、次の50周年から先の将来まで、魅力的でポテンシャルの高い団体であり続けるため、世代を越えた「思いの継承」や物理的な「人のつながりの継承」など、大事なことをきちんと議論しなければならない時がきています。

世代間交流やご自身の後継者と同時に入会できる親子会員制のような制度を議論したいとの思いで、「総務広報委員会」を設置。きちんと将来に繋がっていく会の仕組作りを検討します。また、この委員会には、会報誌の制作と、これまで40年間の博多21の会の足跡を整理し、アーカイブを制作する作業をお願いします。いままで手をつけずにきた会の内部の様々なことを整理していきます。

以上、会員の皆さまにとって、楽しく有意義な2年間になりますよう精一杯務める所存です。どうぞよろしくお願いいたします。

                                                                                          一般社団法人 博多21の会

                                                                                          第15代会長 山本慎一